胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍とは

胃潰瘍とは胃潰瘍とは、胃の中の粘膜がただれて胃壁に傷がついた状態のことを言い、悪化すると胃に穴が空くこともあります。胃液には、「ペプシン」や「塩酸」などの酸性の物質が含まれていますが、胃壁や胃の粘膜はそのような物質から粘液によって守られています。しかし、何らかの原因で胃液と粘液の分泌量のバランスが崩れてしまうと、胃潰瘍を発症してしまいます。
また、胃は自律神経によってコントロールされるため、ストレスなどによる影響を受けやすい臓器です。例えば、仕事や学業でストレスが増えると、胃の状態にも影響が出てしまい、胃潰瘍に繋がりやすいと言われています。また、胃潰瘍は男性に多い病気と言われていましたが、最近では更年期の女性や若者にも患者さんが増えてきています。

原因

胃潰瘍の主な原因として、ピロリ菌への感染、解熱鎮痛剤の一種である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による副作用、ストレスなどが挙げられます。特にピロリ菌によって発症する人が多いです。ピロリ菌は母子感染で感染するケースや、幼少期に汚染された食べ物や水を摂取することで感染するケースもあり、除菌しなければ胃の中で生き続けます。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)については、市販薬にも非ステロイド性抗炎症薬が含まれたものがありますので、注意してください。当院では患者さんのお薬手帳などを確認して、リスクのない処方を行っています。

症状

  • 胃やみぞおちなどの痛み
  • 背中の痛み
  • 食欲不振
  • 胸焼け
  • 吐血
  • 下血
  • 黒いタール便

*空腹時に痛みなどを起こして、食事後は症状が改善することがあります。
みぞおちから左の脇腹にかけての鈍い痛みが主な症状として知られており、空腹時もしくは食後に胃の痛みを訴える患者さんが多いです。また、症状が進行すると、黒っぽい血を吐血したり、血の混ざった黒い便(タール便)が出るといった症状が現れます。さらに、穿孔(胃に穴が開く)するまで症状が進むと、胃の内容物が腹腔内へ漏出し、腹膜炎を起こして非常に激しい腹痛が生じることとなります。

検査と治療

内視鏡検査当院では、患者さんの負担を最小限にするために、経験豊富な専門医が最新の高度内視鏡システムを使って、痛みや不快感の少ない胃カメラ検査を行っております。胃カメラ検査では潰瘍の状態を直接確認し、症状がどの程度まで進行しているかを把握します。また、検査中に胃の検体を採取してピロリ菌感染の有無と、胃がんなどとの鑑別を行います。ピロリ菌に感染している場合には、除菌治療を行います。さらに、胃潰瘍を悪化させる処方をしないように、患者さんの薬手帳や服用している薬の種類の確認を徹底しています。

治療

胃潰瘍の病期は、大きく分けて、活動期(潰瘍が活発に活動している時期)、過程期(潰瘍が小さくなってくる時期)、瘢痕期(潰瘍が消失する時期)の3つに分けられ、当院では病期に合わせて適切な治療法をご案内しております。

活動期

胃酸分泌を抑制するため、PPI(プロトンポンプ阻害薬)やP-CAB(カリウム競合型アシッドブロッカー)、H2ブロッカーによる投薬治療を行います。その他、胃の粘液を増加させる薬剤、胃の組織修復を促進する薬剤なども用いられます。
また、胃潰瘍の初期は症状が激しいため、投薬治療だけでなく食事療法や生活習慣の見直しも必要となります。食事については、消化に良い食べ物を少量ずつ複数回に分けて摂取することで、胃を安静に保ち胃酸の分泌を抑えることを目指します。また、牛乳やバニラアイスクリームは胃酸を中和する効果が認められており、欧米では摂取を勧めているところもあります。

過程期

胃潰瘍は再発リスクが非常に高いため、症状が落ち着いてからも投薬治療や食事療法、生活習慣の見直しは引き続き行う必要があります。食事については、アルコール、コーヒーなどのカフェイン飲料、タバコは好ましくなく、特にタバコは治癒を遅らせたり再発リスクを高めたりする恐れがあるため、完治するまでは禁煙をお勧めします。

瘢痕期

適切な治療を継続していけば、2カ月ほどで症状は収まり瘢痕期に入ります。症状がなくなったとしても、胃潰瘍は再発リスクが非常に高い病気です。ピロリ菌による感染の場合は、除菌療法を行うことで再発リスクを大きく減らすことができます。胃の粘膜の状態が改善されたタイミングで、医師の指導の下で治療を行うことをお勧めします。

十二指腸潰瘍とは

十二指腸潰瘍とは十二指腸は小腸の一部で、胃で消化された食べ物にすい液や胆汁などの消化液を混ぜて、空腸に送る働きをしている器官です。十二指腸潰瘍は胃潰瘍と同じく、胃酸と粘液のバランスが崩れることが原因で起こります。なお、胃潰瘍と異なる点としては、十二指腸の壁は胃壁と比べて薄いため、出血や穿孔(穴が開く)など症状が重くなりやすい傾向にあります。
十二指腸潰瘍は、20~40歳で多く発症する傾向にあり、仕事や学校などストレスの多い現代社会において増加傾向にある病気です。また、男女比を見ると女性よりも男性の方が発症率が高くなっています。

原因

十二指腸潰瘍の患者さんのうち、発症原因の9割ほどを占めているのがピロリ菌の感染です。その他、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用やストレス、タバコ、アルコール、コーヒー、香辛料などが原因となることがあります。

ピロリ菌感染

ピロリ菌とは糸状の細菌で、十二指腸の粘膜を傷つけることで潰瘍を引き起こします。日本での感染率は20代が20%、40代が40%、60代が70%程度となっており、年齢が高くなるほど多くなる傾向にあります。また、ピロリ菌はWHOから胃がんの危険因子としても正式に承認されていることで知られています。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

主に鎮痛剤として使われる薬で、服用することによって潰瘍を引き起こす場合があります。病院で処方された薬だけでなく、市販薬にも含まれていることがありますので、注意してください。当院では、潰瘍を悪化させる処方をしないように、患者さんの薬手帳や服用している薬の種類の確認を徹底しています。

主な症状

自覚症状として最も多いのが、みぞおちから腹痛です。十二指腸潰瘍の場合、特に空腹時に痛みが出ることが多いと言われています。また、場合によっては、胸焼け、食欲不振、胃もたれ、吐き気などの症状が現れることもあります。
また、症状が進行すると、出血や穿孔(穴が開く)、タール便、下血などといった症状が現れることもあります。このような症状が現れた際は、すぐに専門医に相談するようにしてください。

検査・診断

大腸カメラ検査十二指腸潰瘍にはピロリ菌が原因となっている場合も多く、まずはピロリ菌の有無を検査する方法が一般的です。胃カメラ検査によって潰瘍の状態を直接確認し、症状がどの程度まで進行しているかを把握します。そして、検査中に胃粘膜から検体を採取してピロリ菌感染の有無を確認していきます。

ピロリ菌の検査

ピロリ菌の検査では胃カメラ検査が一般的ですが、様々な事情で胃カメラ検査ができない患者さんもいらっしゃるため、当院では他に検査方法もご案内しております。例えば、抗体検査(血液や尿の中のピロリ菌の有無を検査する方法)、糞便中の抗原検査(糞便の中のピロリ菌の有無を検査する方法)などがあります。

治療

胃酸分泌を抑制するため、P-CAB(カリウム競合型アシッドブロッカー)やPPI(プロトンポンプ阻害薬)、H2ブロッカーなどを用いた投薬治療がメインとなります。また、ピロリ菌を除去する治療も行っていきます。

ピロリ菌除去治療

ピロリ菌検査で陽性だった患者さんには、胃酸の分泌を抑制する薬と抗生剤を1週間程度服用していただきます。十二指腸潰瘍は再発リスクが高い病気ですが、ピロリ菌の除菌に成功すると再発率を大きく抑えることができます。なお、下痢などの副作用が現れる方もいらっしゃいますが、その場合は整腸剤をあわせて処方させていただきます。

非ステロイド性抗炎症薬服薬の中止や処方の変更

当院では、患者さんの薬手帳や服用している薬の種類の確認を徹底しております。万が一潰瘍を悪化させる処方となる場合は、服薬の中止や処方の変更を行っておりますのでご安心ください。なお、市販の薬にも非ステロイド性抗炎症薬が含まれていることがありますので、注意してください。

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