潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜の最も内側の部分に潰瘍やびらん(ただれた状態)ができる大腸の炎症性疾患のことを言います。現代の医療では完治させる方法は見つかっておらず、同じ炎症性の腸疾患であるクローン病と共に、厚生労働省によって指定難病に認定されています。
日本では、1970年代頃までは珍しい病気でしたが、近年患者さんの数が増え続けており平成28年度のデータでは約22万人いると言われています。発症年齢のピークは、男性は20~24歳、女性は25~29歳と比較的若い内にピークを迎えますが、若年層~高齢者まで幅広い年代で発症するリスクがある病気です。

原因

潰瘍性大腸炎の発症原因については未だ解明されていません。腸内細菌による関与、自己免疫機能の異常、食生活の欧米化などが原因ではないかと考えられてきましたが、はっきりとした原因は特定できていないのが現状です。
また、家族内発症の事例も報告されていることから、遺伝性の要因があるのではないかとも考えられています。特に欧米の研究において、潰瘍性大腸炎の患者さんのうち約20%がご家族の中に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の患者さんがいるということが近年発表されました。しかし、その遺伝子を持っていれば必ず発症するという訳ではないと言われています。現代の研究では、遺伝的な要因だけではなく、食生活などその他の要因と複合して発症するという説が濃厚で、研究が行われています。

症状

主な症状としては、下痢や血便、痙攣を伴う腹痛が現れると言われています。また、病状が進むと、発熱、貧血、体重の減少などの症状が現れます。場合によっては皮膚や目、関節にも合併症が起こる患者さんもいらっしゃいますので、注意してください。クローン病と異なり、腹部や肛門に膿が溜まることはなく、腸閉塞や肛門周囲膿瘍などの合併症が起こることもないと言われています。

検査・診断

大腸カメラ検査潰瘍性大腸炎の診断は、似た症状の病気との見極めを行うため、下痢の原因となる細菌などを検査し病気の絞り込みをしていきます。次に大腸カメラ検査を行い、大腸内の炎症の範囲や程度を確認していきます。そして、大腸の粘膜の一部を採取して病理診断を行い、他の病気と区別されれば潰瘍性大腸炎の確定診断となります。

治療

患者基本的な治療法としては、アミノサリチル酸の薬剤やステロイドによる内科治療が中心となります。こうした治療でも症状が落ち着かない患者さんには、免疫調整剤や生物学的製剤を組み合わせた治療をご案内しております。
潰瘍性大腸炎は現代の医療では完治ができない病気ですが、適切な治療を続けて症状が落ち着いた状態(寛解)を維持することで、普通の人と変わらない生活を送ることができます。しかし、治療を継続しないと症状がすぐに悪化してしまうことが多い病気です。長い間炎症が続くと、大腸がんの原因となったりする場合もあるため、潰瘍性大腸炎は経験豊富な医師による治療が必要となります。寛解と悪化を繰り返し、腸の炎症が慢性的に続くことが潰瘍性大腸炎の最大の特徴ですので、医師の指導の下で根気よく治療に取り組んでいきましょう。

  • WEB予約
  • 03-5707-3808
TOPへ