いびきがうるさいと言われる…
家族や出張時などに相部屋になった人からいびきがうるさいと指摘されたことがあるかもしれません。
いびきは、睡眠中の症状ですからご自身ではなかなか気づきにくいものですが、周りの方に迷惑をかけるだけではなく、ご自身でも何度か指摘されるうちに気になって睡眠に影響がでるようなこともあります。そればかりではなく、いびきにはなんらかの病気が隠れている可能性もありますので、一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。
いびきをかく理由
睡眠中は誰でものどの周りの筋肉が緩みます。それによって舌の付け根が下がるなどで、空気の通り道である気道が狭くなります。その部分に無理矢理空気を通そうとして気道が振動し、いびきとなります。筋肉の緩み具合や鼻やのどの構造などが人によって、また眠る姿勢などによって異なるためいびきの強い人やほとんどない人がいます。
いびきは病気のサイン?
種類や原因とは
いびきは、散発性のものと習慣性のものの2つに分けて考えます。
いびきの種類
散発性いびき
なんらかの要因から一時的にでるいびきが散発性いびきです。深酒、疲労蓄積、花粉症や扁桃炎などでのどに炎症が起こっているなどであらわれることが多いものです。
習慣性いびき
いびきが習慣化しているケースを習慣性いびきと言います。
単純いびき
単純いびきの場合、いびきは習慣化していますが、特に重大な病気などが背景に無く、睡眠の質もそれほど低下しません。起床時に充足感がない、日中激しい眠気になやまされるなどの症状がなければ、あまり気にしなくて良いいびきです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因となるいびき
睡眠中に気道が狭くなったり塞がってしまったりして、呼吸が止まってしまう病気で、低呼吸や無呼吸に伴う習慣性いびきが特徴です。睡眠の質が大きく低下して日常生活に差し障ることや、大きな動脈の障害などを起こしやすく注意が必要です。
いびきをかく原因
以下のような要因があるといびきをかきやすくなると考えられます。
1. 枕の高さがあっていない
枕の高さが合わないと、うつむき加減の姿勢になったりして、気道が圧迫されてしまいます。
2. 口呼吸
鼻腔が狭窄し口呼吸になっていると、寝ている間に舌がのどに落ち込みやすくなり、気道が塞がれてしまいます。また空気の流通も多くなり音も大きくなります。
3. 飲酒
アルコールには筋肉の緊張を解く効果があり、のど周辺の筋肉が緩んでしまうことでいびきをかきやすくなります。
そのいびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)かも?診断基準について
毎日のようにひどいいびきに悩まされ、起床時にすっきり感が無い、日中激しく眠くなることがある、家人からいびきや呼吸の低下を指摘されるといった場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあります。SASは眠っている間に気道が塞がったり、呼吸中枢からの指令が途絶えたりして低呼吸や無呼吸の状態を何度も繰り返す病気です。
無呼吸とは呼吸が10秒以上止まる状態を言い、睡眠中に低呼吸や無呼吸が1時間に5回以上(無呼吸低呼吸指数:AHI≧5)あり、加えて睡眠時のいびき、夜間頻尿、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状が伴う場合に一般的にSASと診断されます。
SASのいびきの特徴としては、
- 激しいいびきの後、突然静かになり、しばらくすると「ガガッ」というような呼吸音とともにまたいびきがはじまる
- いびきが急に悪化してきて、どんどん音もうるさくなる
などが挙げられますので、このような症状を指摘された方はSASを疑い、お早めに受診してください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は
放っておくとどうなる?
SASは適切な治療を行うことで、大きく改善することが期待できますが、治療せずに放置してしまうと、重症化して日常生活を大きく損なうことや、様々な病気を合併する危険があります。これは、睡眠時に無呼吸状態が続くことで自律神経が乱れ、交感神経優位となることで覚醒時のような緊張を強いられて起こる身体的疲労や、血管疲労による全身の細胞・臓器への影響によるものです。
日常生活の問題では、夜間頻尿、起床時からしばらく続く頭痛、日中の激しい眠気などがあり、特に日中の眠気が仕事中や運転中に襲ってくると大きな事故に繋がる可能性もあります。
一方で合併症としては、高血圧、糖尿病、冠動脈障害(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞など)が挙げられ、最悪の場合突然死の原因となることもあります。
いびきの治し方
以下のような点に気をつけることで、いびきを低減できる可能性があります。
まず肥満を解消することが最優先
BMIが25.0を超えている、腹囲が太いなど肥満がある場合、のどの周りについた脂肪などで気道が狭窄しいびきが増えます。まずは肥満を解消しましょう。
飲酒や喫煙といった生活習慣の見直し
お酒を飲むと、のどの筋肉も弛緩します。それによって気道が狭くなりいびきがでます。喫煙によって、のどの粘膜は荒れ、分泌物が増えて気道粘膜にへばりつくためやはり気道は狭くなりいびきをかきやすくなります。
寝ている時の姿勢
仰向け寝は、舌根部(舌の付け根)がのどに落ちやすい姿勢です。いびきが増えてきたら横向きに寝ることで気道の狭窄を軽減することができます。また枕の高さもあまり高くし過ぎず、ちょうど良い高さに調節しましょう。
いびき防止グッズを試してみる
口閉じテープ、鼻拡張テープ、鼻クリップ、マウスピースなど、様々な市販のいびき防止グッズがあります。これらによっていびきを低減することで重症化を防ぎます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合
睡眠時無呼吸症候群(SAS)はその程度によって軽症、中等症、重症に分けられ、それぞれ治療法や保険適用の範囲などが異なります。そのうち中等症から重症の場合の標準的治療としてCPAPという専用の装置で空気を送り込み呼吸を確保する療法があります。それ以外では専門の歯科医が作るマウスピース、ナステント(鼻から通すチューブ)など様々な治療法があります。いびきの気になる症状がある場合、当院までお気軽にご相談ください。